断酒ランナー

断酒3年達成。ランナー歷5年目。初ウルトラマラソンサブ10。フルマラソンサブ3:10にチャレンジ

始まれば終わる サロマ湖ウルトラマラソン詳細

 サロマ湖100キロウルトラマラソンに初参加。去年の岩手銀河100キロマラソンに続く2度目のウルトラマラソンにチャレンジ。去年初めての100キロ走って2度とやるかと思った位過酷なレースだったので2度目があるとしたらサロマしかないなと思ってた。それぐらい、いつかはサロマに完走するのが夢であり目標でもあった。ただ、人生経験でいつかはこない。身体的にピークかもしれない今年エントリーをして、去年とは違うアプローチで板橋フル後の約3ヵ月かけて仕上げてきた。

 後は出来るだけレースに集中できるよう、2泊3日のフルパッケージツアーを組んで、前日はホテルでの引きこもりに徹した。睡眠はほとんど取れなかったが去年もサブ10出来たので気にしてもしょうがない。ただ、誤算はスタート前のトイレ行列にはまって、スタート位置が後方になってしまい。スタートラインを通過するのに2分近くかかってしまい、その後3キロまでは縫うような走りで余計なエネルギーを使ってしまったことが唯一の反省。

 5キロ通過が28分36秒 想定より1分半遅れ。だいぶ焦っていた。そこからキロ5分一桁で巡行。10キロ通過で54分を少し下回り借金返済。いや逆に負債にならなければいいかと一抹の不安。

 15キロ通過1時間19分台。早くもトップランナーとすれ違う。マジでウルトラのレースかってって位のスピード。結局トップの選手は日本記録を更新していたから化け物だったんだなと後から納得。

 スライド区間を経て、折り返し地点でポールをタッチしている人が多かったけど、これもサロマ名物?でそのあと20キロ通過1時間44分台。だいぶごぼう抜きしたが前にも多くのランナーがいて、しかも強い走りの女子ランナーも結構みた。さすがサロマのレースはレベルの高いなあと実感する。

 25キロ通過2時間10分台。天気でまだ7時になったばかりなの?ってくらいの太陽の日差し。30キロ通過2時間36分台。結構ハイペースでいっていたが、5分1桁で自然に出なくなってくる。ここから徐々にアップダウンが始まる。40キロ通過3時間29分台。サブ9に向けて10キロ前で貯金ができる。しかし、それに対しての身体の余力が感じられない。フルマラソンの通過が3時間41分台。かなりいいペース。

 以後ペースが5分半ばを行き来する。54キロ過ぎの大エイドが恋しくなってくるほど徐々に余裕がなくなってくる。キロ通過3時間55分台。50キロ通過4時間23分台。サブ9に向けて5分以上の貯金はできたが一気に吐き出しそうな予感はした。51キロラップがついに6分台。登り区間ではあったが一気に全身がだるくなりしんどくなっていた。このあたりから、必ずがぶり水を全身にかける。「早く大エイドにつきたい」1キロ一キロが長く感じる。そして、54キロ過ぎの大エイドに到着。トイレに駆け込む。その後、ドロップバックを受け取り椅子に座る。「はぁ、はぁ、はぁ・・・もう、リタイアしたい。」呼吸は上がりリタイアモードになる。何しにサロマに来たんだろうと思いふける。近くにいたランナーの会話で、今からキロ6で粘ればなんとかサブ10出来るよと聞こえてきたが他人後に聞こえたが何度もその言葉がリフレインする。

 

 とりあえず、ドロップバックに入れた果実入りゼリーを2個頬張る。「うっうまい!」ここから数分座って、がぶり水浴びて再出発。時間にしてトイレも含めて7分程度滞在していたことになる。「とにもかくにも、前に進んでみて、それから考えよう」とできることをすることに徹する。

つつ

 ここから、しばらくアップダウンが続く。60キロ通過5時間29分台。サブ9は忘れて、サブ10もこの時点ではかなり怪しい。アップダウンが終ってしばらく進むと、通称魔女の森に突入する。日陰になってとても走りやすい。徐々に身体も復活してきて、がぶり水&給水区間以外は5分台半ばで巡行。もっと魔女の森が続けばいいのにとボーナス区間は終了する。70キロ通過6時間29分台タイム的にも復活している。

 さあここからワッカ原生林に向けてどう走っていくか。71キロ過ぎから何故かスイッチが入り、5分台前半で巡行しごぼう抜きしまくる。その勢いで、ワッカ原生林に突入。 

 80キロ通過7時間22分台 歩かなければサブ10はだいぶ現実味を帯びてくる。この10キロがサブ9を上回るペースでもしかしたらワンチャンあり得る?と頭をよぎる。事実ワッカ原生林を突入しても絶好調でごぼう抜き状態。このまま最後まで行けるか?

 折り返し手前の橋を登り終えて、不整地ゾーンに突入。「あっ足が痛ぇー!」「砂利道は聞いてないよ!って位80キロ走ってきた脚には応える。ここまでのいいリズムが終了する。

 「ここから来た道を戻るのかなと思ってたら通り過ぎてどこまで行くの?」と90キロまでだいぶ手前なのに、90キロの通過板を通ると嫌な予感は的中。全然折り返しは見えず「始まれば終わる」とこの時は言語化できなかったがこのニュアンスで淡々を身体を前に倒して、ダウンジョグ感覚で進む。キロ7~8位の感覚だったが6分前後で粘っている。そしてようやく90キロ通過8時間22分台。もう、復活はないと悟る。足を踏み込む足底筋が完全に終了している。できれば、歩きたい。90キロ通過板s過ぎたあたりの給水所の後50メートルくらい歩いてしまっていた。それでも、また走り出す。身体を前に倒し無理くり前に進む。それを1キロ1キロ。そしてようやくワッカ原生林を後にする。

 ワッカ原生林に突入前は勾配のある橋を颯爽と通過したが、ゾンビのように1歩1歩進める。給水所のたびに膝に手をついてハアハアする。がぶり水は毎回全身に掛ける。その繰り返し。そして95キロ通過8時間54分台。ウルトラの自己ベスト更新も絶望的なのは分かっていたが、最後まで、歩かずにゴールすればすべてが納得いくような気がした。ここから1キロおきに残り何キロの表示が出てくる。本当はかみしめるように走りたかったが、苦しかった。時計と表示が500mくらいずれていたが、逆にそれを交互にみながらスモール目標に見立てて「あと500メートル頑張ろうと約3分おきにそれをくりかえし、5、4、3、2、1とカウントダウンしていく。しかし全然ゴールが見えないし音も聞こえないから本当にゴール出来るのって何かにすがりながらも、自分の脚と心中する。そして500mを切り沿道から声援を受け感謝の言葉を伝える。そして、最後の曲がりでゴールを発見し、自分の名前が呼ばれる。ゴール盤は丁度9時間30分になり、歓喜のゴール。「もう走らなくていいんだ」「がんばったよ」と自分をたたえ振り向いて一礼。

 

 レースが終わり、100キロレースでサブ9を目指すとかという思いは今はあまりない。本当に準備が大変だし、メンタル的にもきつい。ただ出てよかったな。最後まで歩くことなく自己ベストは出なかったけど、やり切ったという思いが強い。苦しんだ分、振り返ってみると、サロマの魅力が鮮明に再現されてこんな経験が出来て良かったなぁと思う。

 ランニングを始めたころから、こんなレースを体験できるなんて思いもしなかった。ウルトラマラソンはおすすめだよなんて簡単には言えないけど。